会議室を非営利活動に無料開放
地域イベントへは全社一丸で積極参加

「不動産は我々不動産会社にとっては商品だけれど、一方で人々の生活の場でもあるのです。それを忘れて、
単純に商品として扱ってしまってはいけないと思います」−。東京都内に12の拠点を持つオリンピア興業鰍フ
地域貢献に対する考えは、同社代表取締役社長・葉山相也氏の熱い思いからきている。

同社の設立は、1964年。葉山社長の生まれ故郷でもある、東京都北区赤羽が創業の地だ。
その赤羽を中心に、同社では様々な地域貢献活動を行い、着実に根付く努力を行っている。

現在は本社を新宿に移転しているが、赤羽の拠点として残っているのが、
JR赤羽駅東口からほど近い大通りに面する商業テナントビル「METS」である。

同社では、同ビルの中にある会議室を、5年前から地元の人々に無料開放している。
とはいえ、誰でも利用できるわけではなく、「利益を目的としない団体」であることが条件。
赤羽駅東口商店会や、地元のまちおこし集団「街づくり・フロンティア・21」など、現在約15団体がこの会議室を
利用している。

もともとこの会議室は、5年前にビルを全面改装するのに際し、テナントへのサービスの一環として
営業会議などに利用して貰おうと設置されたものであった。しかし思いの外利用度は低く、
これではもったいないと地元団体への無料開放をスタートさせたというわけだ。

このことは、テナントビルと地元の人々をつなぐ役割も果たしていると葉山社長は言う。同氏は、不動産業は、
「地元こそが大切だと考えている。単に土地を買い建物を建てたからといっても、そう簡単に「地元」には溶け込めない。
それぞれの場所にそれぞれの生活がある、そういう人々の隣で商売をさせてもらっているのだから、
地元とのつながりを大事にしたいというのが同氏の考えだ。「当社の物件にテナントさんについても、
突然入り込んできて、家賃を払っているんだから、と大きな顔をするのではなく地元の方々とうまく交流できる様に
注意を払っています。テナント企業と地元の方々との間に立ち、双方の気持ちを汲むということも、
管理業務の一つだと思うのです」(葉山氏)

会議室の開放に当たり、告知などは行っていない。葉山社長の「地元」でもある赤羽では、
「みんな顔見知りだから、告知する必要がない」(同氏)のだ。商店会など核となる団体に声をかければ、
そこから情報が広がっていくわけで、つまりほとんどが口コミの利用者。このためポスターを貼って大々的に告知する
必要もなく、またトラブルも少ないのだという。

利用頻度は、どの団体も月に1,2回程度。有料で使用している民間企業も数社有り、また、同社自体の会議にも
使用しているため、現在会議室は有効に活用されている状態だといえる。

こうした試みは、商売に直結するものではない。
しかし、「当社が地元企業の一つとしてお役に立てることは・・・と考えるとこういうことであり、こんな不動産会社もあると
再認識してもらうことが出来る」(同社不動産管理事業部 第一葉山ビル管理事務所所長 天野和樹氏)のだという。


地域のお祭りにも協賛・参加

地域の祭事にも、同社は積極的に参加している。なかでも、今年で46回目を数える赤羽の代表的お祭り「馬鹿祭り」については、
協賛を欠かさない。当然、この祭りの打合せなどの際にも、同社会議室を提供している。

さらに、同時期に開催される前出のまちおこし集団「街づくり・フロンティア・21」主催の「さくら祭り」にも協賛。
今年で6回目となるこの祭りは、荒川の土手をもっと知ってもらおうと始められたもので、同社社員が下準備の段階から参加し、
当日は実際に餅つきを行ったりもする。「本来は私が焼きそばでも作って売ったりするべきなのだと思うのですが・・・。
会社一丸となった取り組みでもあるということですね」(葉山氏)

このほか、神社の祭りなどに際しては、御輿をかつぐ人たちに飲み物や食べ物をふるまう「接待所」を必ず設ける。
景気が低迷する中、接待所を出すとことも減少傾向にあるが、今後も同社では赤羽に限らず、事務所や管理するビルが
ある地域で祭事等がある場合には、できる限り協力してきたいという。

こういった地域への貢献や地域との交流は、不動産業の基本に過ぎないと考える葉山社長。
人々の「生活」を扱う重みを、改めて思い出させてくれた。

                                     (「月刊不動産流通」2002.10より抜粋)